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飛田 徹; 相澤 一也; 鈴木 雅秀; 岩瀬 彰宏*
日本原子力学会和文論文誌, 3(4), p.331 - 339, 2004/12
軽水炉圧力容器鋼の照射脆化には、高速中性子のみならず熱中性子や線の寄与も含まれる。線による照射脆化は高速中性子よりも効率的である可能性が指摘されているが、現在までにその定量的な把握はなされていない。試料としてFe-Cuモデル合金を用い、照射温度と速度を一定に制御し、線照射を模擬した2.5MeV電子線照射と中性子照射を行って照射硬化量を測定し比較した。これにより照射硬化の温度依存性,照射量依存性等を調査した。また、中性子小角散乱法により照射に伴うCu析出を確認した。その結果、dpa(はじき出し損傷量)を基準にすると、電子線(線)と中性子による照射硬化が照射のごく初期を除いてほぼ等しいことがわかった。照射の初期に関しては、電子線照射の方が照射硬化が低いdpaから生じる傾向にあった。また、Cuの析出と粗大化が照射量に依存しており硬化の主な原因になること,10のマイナス3乗dpaまでに飽和すること等がわかった。以上の結果工学的な観点からは、dpaを指標にすることで線による照射硬化が中性子による照射硬化と同列に十分な精度で評価できるという結果が示された。
鎌田 耕治; 吉沢 勲*; 楢本 洋
Phys.Status Solidi A, 18(1), p.377 - 386, 1973/01
被引用回数:7Cu,Cu-Ni,Cu-Si,Cu-Ge単結晶の電子線照射硬化を78Kと300Kで測定した。78K照射ではFrankの理論をもとにして格子間原子のtetragonalityに起因する硬化現象として結論された。300K照射では、導入された欠陥当りの非常に大きな硬化が観測された。この硬化機構についての可能性としてはinterstitial clusterによるものが考えられる。上述の結果から、78Kで照射後、格子間原子単独ないしは溶質原子と複合した形で存在する格子間原子が温度が高くなると動き、300K照射の後ではそれらがclusterを形成する事が理解された。降伏応力の温度依存性の実験から、100K以下にある「anomaly」に照射が影響を与える事もわかった。